【展示会レポート_01】


先月の29、30日の2日間開催されていたモクコレ2019に初めて行ってみた。
今年で4回目になるそうだが、1都2県で始まったイベントも40都道府県が参加する木材を中心とした一大イベントになったようだ。何か新しい発見、情報を得ることができるか期待を胸に久々の東京ビッグサイトへと向かった。
毎回思うことではあるけれど、このエリアは相変わらずの強風で、まっすぐ歩けないところもあり、会場まで着くまでが難儀である。
他には別のイベントが重なると駅から大変な混雑で、行く気が無くなってしまう。今回はたまたま少なかったのか、会場までとビッグサイトに入ってからも混雑なく行けた。というわけでいつもビッグサイトで開催されるイベントは思い出したかのように時々ちょっと行ってみようかということが多い。

さて今回のモクコレはいつものイベントの開催場所とは異なり、一番奥のエリアでの開催で、建物の規模が大きいので仕方ないのであるが、入り口からかなり遠かった。建物の中に入れば暖房も効いていて暖かいのであるが、この巨大なキャパの施設を温めるエネルギーはどれぐらいなのだろうかと思うくらい暑く感じた。
話を戻して、モクコレは建材展などど違い、メーカーの出店というより各森林組合や行政などそれぞれ取り組んでいる様子が主に紹介されていた。加工技術を生かした木材製品も多く、面白そうなものもあった。中には設計で活かせそうな商品もありました。結局、2時間くらい会場をうろつきながら見て回った。しかし各県でブランド化された杉材が多くみられたのだが、育つ環境は違えども同じ杉材。大きな違いがあまり見られなかったように感じた。産地が多すぎて、選択する際に何を基準で選ぶかということがわかりづらい。もしかしたらもう存在するのかもしれませんが、ジャパンブランドとしての杉材というものがあっても良いのかな。とにかく多くの産地が存在する日本は森林大国であることは間違いない。

その中で今回注目していたのが、ツーバイフォー材の国産化の動きである。以前から国産材ツーバイ材に興味があり、そういう活動に参加している。モクコレでは国産材のツーバイフォー材の活用に取り組んでいる群馬県や鹿児島県などがブースを出展していて、多くはないけれど実際に動き出している県がある。現在、ツーバイフォー材はそのほとんどが輸入に頼っている、といよりも殆どが輸入材を使用しているのが現状である。

森林大国である日本にもかかわらず、木材の自給率は35%程度にとどまっている。年々増加してきているとはいえ、まだまだ低い数字であることには間違いない。今後、50%以上まで伸ばしていこうとする動きがある中で、様々な活用方法が見出されている。住宅分野で言えば、そのシェアは在来工法には及ばないものの、年々、着工数は増加傾向にあるツーバイフォーに国産材が使用できれば、自給率アップにも貢献できる。工法の良し悪しについてはまた別の機会に述べようとは思うけれど、日本国内に建てる住宅に国産材が使えない状況は改善していくべきだし、その環境も時代とともに変わっていっても良いのではないかと思う。現在、日本の山は木をどんどん使っていかないと却って荒れて行ってしまう状況にある。構造躯体だけでなく、仕上げ材にも多く国産材が使用できるような法整備、環境づくりがもっと進んでくれば国産材も使いやすい環境になってくると思う。
というこでツーバイフォー材の国産化に興味があってもすぐに活用できる土壌ができているわけでもなく、活用できたとしても一部の部材のみという現状の中、事務所ではまだ実現したものはない状況である。ただそういうニーズがあればすぐに実践できるようにしていきたいと思っている。
ハードルは下がってきてはいるものの、国産材化はなかなか思うように進んでいないし、実現したものを見ても、単発で終わってしまっているものが多い。今回見て回った群馬県や鹿児島県などの例をはじめ、全国的な広がりまでとは行かないまでも少しずつその活動は広がりつつある。一つ一つの点が多くなっていけばそれがいつか線になり、大きな面になっていくと思う。

近い将来、事務所で設計したツーバイフォー工法の物件がオール国産材化できればと思いながら、今後も活動していければと考えている。また様々な動きに対し、敏感にアンテナをはって、設計に生かせるようにしていきたい。まだまだ知らないことも多いし、木の活用は広がっていく余地があると感じたモクコレ2019でした。

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